日本経済に於いては、バブル経済崩壊後、長期停滞時期にあったが、近年、経済成長率は上昇し、徐々に経済回復の兆しがある。
然し、日本経済全体を表す経済指標が好転する一方で、地域経済の回復動向にはばらつきがあり、企業間競争は激化、我が国の雇用形態も変容を迫られている時期である。
現在、大手企業を中心に、雇用・人事管理政策の改革が行われ、人事処遇の個別化や雇用形態の多様化に努めてきたが、日本の企業は極めて早期より正規従業員雇用の硬直性を前提とし、それに代替するパートタイマーや臨時労働者、社外工、季節労働者などを活用しており、今日の雇用の流動化は、その直接の延長線上にある。
こうした中、人事教育や新たな人事募集を掲げ、変容を遂げようとする企業にとってはその一端を担う優秀な人材を見極める必要性がある。
然し、実状、優れた人材と判断する材料としては、雇用する人物に関して云えば、労働希望者が提出する書類と数時間の面接のみであり、短期的な時間と僅かな材料にて判断しなければならず、本質を見極める要素が不足しがちである。
各企業、雇用に関しては、各々独自の手法を用いて採用されている処ではあるが、今日試みられている施策が、たとえ本質的には既存の雇用・人事政策の一つであったとしても、現代社会に於いては、通例の手法とは大きく異なる現状にあるということに留意する必要がある。
というのも、この施策は、あくまで一般的な手法の一つであり、各企業の目的に適合した手法とは限らず、本質を見極めるには絶対的情報量が不足している点である。
優秀な人材と判断し雇用したものの、育成時間のみ消費し、結局は戦力外、又、戦力的には満たされていたが、社内外での予想外の問題にて退職や解雇へと至る場合等様々である。
たとえば、金銭感覚に不安要素を持つ人物を雇用したとする。 通例の書類、試験や面接等の手法を用いて、外観上の材料にて判断する事となり、その人物の本質には全く気付けず採用へと至るが、後々横領が発覚、企業としての信用も失い、更には莫大な損失へと至ったというのは良く聞く話である。
無論、全ての困窮者が横領に該当するとは解し難いが、当初より状況如何に因っては企業の運営に関わる重要な運営金を横領する可能性を秘めた人材を雇用する要があるのか否か、又、多大な被害を及ぼす要素を秘めている人材と熟知しての雇用かと云う事になる。
採用に関し、外観上、又、概念的発想にて雇用する企業もあるが、企業が拡大するに連れ、現在迄一般論や概念的発想にて雇用し、成功を収めてきた企業であっても、予想外であったとの言葉と共に判断を誤った企業が多々増加の傾向を辿る現状である。 |